映画館シネマーク(Cinemark)と『ナイブズ・アウト(Knives Out) 』米国発レビュー

映画館シネマーク(Cinemark)と『ナイブズ・アウト(Knives Out) 』米国発レビュー

2019年12月28日 0 投稿者: Soylattes

エンターテイメントの本場であるアメリカにおいても、当然の流れとして従来広い国土をカバーしてきた多数のチャンネルを強みとするケーブルテレビから、NetflixやDisney+などのストリーミングへの乗り換えも急激に増えており、TVそのものの存在意義が変わりつつあります。映画館に関してもその影響はあると思われ、ただ映画を上映するだけでは、近年大型化してきた家庭用TVで視聴できるバラエティに富んだストリーミング放送との差別化も難しくなってきており、映画館側も顧客獲得に向けて必死に試行錯誤している印象です。

お気に入りの映画館シネマーク(CineMark)

数ある映画館の運営会社の中でもオースティン市内で特に良く目にするのがシネマーク(CineMark)です。この映画館は全米では第三位の規模を誇る映画館のネットワークであり、本社所在地はテキサス州ダラス・フォートワースエリアにあるプレイノ(Plano)。かつて各州に存在していた大小様々な映画館チェーンへの買収を繰り返して巨大化してきた歴史があり、日本でも松竹と提携をしているので一部地域では展開をしているようです。映画館業界にとっては厳しい状況の中にあって、比較的順調に成長を続けてきているシネマークには、自然と映画館に足を運びたくなる環境や仕掛けがあります。

 

Cinemark

http://www.cinemark.com/

シネマークの魅力①:ソファータイプの座席

日本の映画館と同様にシネマコンプレックス型(一つの施設内の複数スクリーンで異なる映画を上映)、3Dや4Dといった仕掛けがある劇場と、通常の上映用の中小型劇場がそれぞれ一つの施設に含まれています。その点は、あまり他の映画館とは変わらないのですが、シネマークの劇場にはLuxury Loungersと呼ばれる、電動リクライニング・フットレストが付いているゆったりしたソファータイプの座席があります。

Luxury Loungersのイメージ。両サイド方向に広いだけでなく、足を完全に伸ばせるだけの前後のシートピッチが確保されているので、上映中に他の人が横切るような場合でも十分に通路が確保されています。

前後左右に広々とした空間が確保されていて、シートもソファーのような心地良さ(その気になればすぐに眠れる)があるのでオススメ。

チケット購入の際に、図のような「Luxury Loungers」のマークがある映画館と時間帯を選択すれば、このシート仕様になります。

注意点としては(これは映画館に限らずテキサスの建物内では..)空調が効きすぎている劇場が多いので、建物内でも寒さ対策ができるような上着やひざ掛けなどはあった方が良いです。

 

シネマークの魅力②:シネマークムービークラブ(サブスク型チケット)

シネマークには、シネマークムービークラブという会員制サービスがあり、テキサスでは $8.99 plus tax/月で会員になることができます。この月会費には毎月一枚の映画チケットが含まれており、その月に見たい映画が無い場合は繰り越しも可能、さらに繰り越したクレジットを使用して家族や友人分のチケットにすることもできます。オンライン購入時にかかる数ドルの諸費用もメンバーになることで支払い不要となるので、通常料金より数ドル安く購入できる為に、年に数回以上映画を映画館で観たい!という方にはオススメです。館内でのショッピングも20%OFFです。

※この月会費に含まれるチケットは、標準的なスクリーン用のチケット1枚分のクレジットですので、3Dや4Dなどの高付加価値型のスクリーンでの上映を楽しむ際には、+数ドルの追加費用を支払う必要があります。一方でアーリーバードと呼ばれる午前中上映の映画は、価格設定が安くなるので、自分の希望に適した時間帯や曜日・上映方法を探すのも良いと思います。

映画館では、小さな子供たちが一人一つずつ、大きなドリンクと一緒に、バケツほどもあるポップコーンを抱えながら劇場に入っていく様子を見ることができます。アメリカ在住の映画好きの方だけでなく、日本から旅行で来られた方にも、アメリカの映画館での映画鑑賞は、一つの面白い経験の一つになるのではないでしょうか。

『ナイブズ・アウト(Knives Out) 』米国発レビュー(2020年1月日本公開)

今回、アメリカでは2019年11月に公開された映画「ナイブズ・アウト(Knives Out)」を観てきました。公開前の評判も非常に良く、トレイラーを見るだけで”ミステリー映画らしさ”と豪華なキャスティングが非常に魅力的であることが伝わってきます。日本では2020年1月31日公開予定でタイトルも「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」となっています。

https://longride.jp/knivesout-movie/

『ナイブズ・アウト(Knives Out) 』の魅力①:俳優陣の個性

近年の映画界を支える007のダニエル・クレイグと、キャプテンアメリカのクリス・エヴァンズが共演というだけでもその組み合わせに新鮮さを覚えて、ついつい映画館に足を運びたくなりますが、その他のキャストも非常にキャリアと経験が豊富な為、個性豊かな登場人物の描写が豊かです。前述の二人も、007やキャプテンアメリカのキャラクターに引きずられることなく、全く新しい人物としてスクリーンに登場。どろどろとした人間関係の中にあって、それでも見続けていたいと感じる大きな魅力の一つは、表情豊かな俳優陣の力によるものだと感じます。

『ナイブズ・アウト(Knives Out) 』の魅力②:屋敷と音楽が「ザ・ミステリー」

舞台はアメリカNYなのに、どこかヨーロッパの雰囲気や古き良きミステリー映画を見ている感覚になれるのは、ほぼ全編を通じて描写の背景となるこの洋館の雰囲気と、音楽の世界観の影響かも。実際にこの映画の監督ライアン・ジョンソン(『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の監督)は、アガサクリスティーのファンとして、その要素をこの映画にちりばめたとか。

また、音楽もミステリーらしさを盛り上げる重要な要素として貢献しています。特にテーマ曲であるフランク・シナトラの「I’m Gonna Live Till I Die」が映画全体を通じて映像とリンクしながら、観客をその世界に一層引き込んでくれます。

通常なら、オリエント急行殺人事件のように、監督やキャストを一新したリブート作品(=ミステリー映画の場合は、結末を知った上で見てしまうことになる…)として取り組むケースも最近は多いのですが、本作は全くのオリジナル脚本ということもあり、「古き良きミステリーの雰囲気に飢えたミステリーファンが、未知のシナリオを豪華なキャストで楽しむ」という、リッチなエンターテイメントに仕上がっています。

最近は映画もドラマもミステリーの脚本が複雑化しすぎて、またそれを見る観客や視聴者も常に複線を探りながら見るという、作る側と見る側の消耗戦が進んでいる気がします。そのような昨今の作品に比べると、本作は古き良きミステリーが大切にしていた、人物描写や映画の世界観・雰囲気といったものを楽しめるミステリーに仕上がっている為、過去のミステリーの名作やそのリブート作品等を何度も鑑賞しているような映画ファンの方々には、是非お勧めの映画です。

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